蕎麦屋じん六 | 京都市北区にある蕎麦屋「じん六」そばの実本来のその味と香りをぜひご堪能下さいませ。

蕎麦屋 じん六

TEL:075-711-6494

〒603-8054 京都府京都市北区上賀茂桜井町67

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蕎麦の香り、匂い3


当店では秋になり、各産地から玄蕎麦が届くと
順番に片っ端からそば殻を取り去り、蕎麦の実を丸抜き
の状態にして冷蔵庫に保管しています。ということで、
秋から次の年の春ごろまでは毎日蕎麦殻を剥く作業を
しています。多い時で一日に100数十キロの丸抜きを作る
こともあります。それはいつも店の若い子がしてくれています。
だから、彼に僕は常々言っていました。皮むき作業をしながら
いつも蕎麦の実を齧って、蕎麦の実そのものの味、香りを
自分の体に刻みつけるように指導していました。

蕎麦の香り、匂い2


当初、彼は18秒間茹でた時が一番美味しい
と言っていました。私が15秒の茹で時間の蕎麦
が美味しいと思っていた時にです。私は彼に
言うのです。”18秒の時に感じられる香りは
僕にとっては匂い。15秒の時に一番感じられる
のが蕎麦の実を何も加工せずにガリガリ齧った時
に感じられる実が本来持っている香りである”と。

蕎麦の香り


この2月で5年半の間店を手伝ってくれた男子が辞めました。
蕎麦の感覚についてはそこそこ解ってくれるようになっていた
ので残念に思っていました。彼が店に入るようになった当初から
賄いの蕎麦だけはずっと彼に茹がかせていました。その頃はまだ
今と違ってPM3時に店の営業を終了していましたので、茹で始める
のは、PM4時ごろが多かったように思います。13秒、14秒、15秒
16秒、17秒、18秒・・・と結構秒刻みに茹で時間を変えて、その瞬間
のその茹で湯での適正な茹で時間は何秒か?という風にです。
一般的な見解では、そんな1秒くらいの茹で時間の違いなどある筈
は無いというところでしょうか?でもそれははっきりと違いが
あるのです。

B大学S先生 その5


こんなこともありました。かなり以前のことですが、
彼の前に点数をつけるとすれば80点位付けられるだろう
蕎麦切りを出したところ、彼は一口食べて私に”この蕎麦
もっと美味しく出来る筈!だってもっと良いそばの実を使って
いる筈だから!”と言われました。まさしく、前日の晩に
その粉を製粉している時に”しまった”と思っていた粉だったから。

B大学S先生 その6


こんなこともありました。或る年の蕎麦の実の中で、少し
毛色の変わった面白い蕎麦の実が少しだけあったので、大事に
使おうとあるとき少し使ったらその時たまたま彼が来て、
”これ美味しいなー”の一言。そして、その後何ヶ月もしてから
”あぁ、あの蕎麦の実まだ少しあるので、久しぶりに使って
みようか?”と、そして又、たまたまその時、彼が来たのです。
そしてその蕎麦を食べた時一言、”この蕎麦の実 何ヶ月か前に
味わった蕎麦の実と同じやね!”と。
彼の味覚は普通ではありません。日本全国同じようなことを
している蕎麦屋が何軒あるかはわかりませんが、多分そこまで
蕎麦を食べ分けできる蕎麦屋の親父は5人も居ないと思います。
私が客の立場であってもあそこまで判るか私も自信はありません。
まだまだ、その手のエピソードはありますが・・・。

B大学S先生 その4


でも、彼は違います。例えば、彼の前に点数で言えば30点
しかつけられない蕎麦切りを出したとしても、それを味わって
”あの良くない蕎麦の実をココまで美味しく出来れば
充分だ!”と言ってくれます。自分はその原材料である
所の良くない蕎麦の実も見たことがないのに!
そうなのです、彼は蕎麦切りを食べて、その原材料のレベル
まで想像がつくのです。そして実際、私は以前であれば
そういったレベルの蕎麦の実を美味しく麺にすることの難しさ
をいやというほど思い知らされていたのですから。

B大学S先生 その3


一般に蕎麦好きが初めての蕎麦屋に行ったとします。
そうした時、その人はどのようにその店の蕎麦を評価
するでしょうか?大抵の場合、人はそれぞれ自分の中に
”100点の蕎麦”という物差しを持っています。そして
その物差しでもって、その店で出された蕎麦の評価を下します。
でも考えて見てください。日本全国、どこの蕎麦屋も
365日、毎日100点満点をつけられる材料の蕎麦(平たく
言えば使いたい材料)が使えているか?言い換えれば
言葉は悪く蕎麦の実に対して失礼ですが、”こんな蕎麦の実
使いたくない”と思われるレベルの実を使わなければならない
時が1年を通して何回か、いや、何度も或る筈なのです。
そしてたまたまその店を訪れた時にどうしようもないほど
良くない実を使っていたらそれだけで”この店はたいしたこと
がないなー”となります。

B大学S先生 その2


彼が毎日店に来てくれるので、こちらも嬉しくなり
何回目かから違う産地の蕎麦を”これは福井産””これは茨城産”
と産地名を告げながら提供するようになりました。(今でこそ
”蕎麦三昧”というメニューで一般のお客さんにも産地名を
告げながらということはしていますが、その当時はそういうこと
はしていませんでした。  そうしたら、彼は産地名を告げなくても
おおよその産地名を当てられるまでになってきたのでした。

B大学のS先生。その1


当店、来年(2007年)の1月26日で開店して丸12年になります。
S先生が初めて当店に現われてから(現れたという言葉がピッタリでした。)10年以上経つと思われますが、彼が1番初めに店に来た時、
最初に言ったことは、”堅い目に茹でて”という言葉でした。
私は密かに心の中で”この男は何を言うてんねん”とつぶやき、
いつものように蕎麦を湯がき彼に供しました。そうしたら、次の日も
そのまた次の日も彼は店に現れ、その1週間に合計5回は来て
くれていました。  最近でこそ、彼は仕事が忙しくて週に1回も
来れるか、来れないかというサイクルでしか店に来なくなって
いますが、彼と二人で歩んできた10年は私にとって、蕎麦屋の親父
にとって貴重な勉強の時となるとは夢にも思いませんでした。

久しぶりの書き込みです。


ここ数週間、現用の石臼の原料供給口の
モーターとそれに繋がる回転シャフトの調子
が良くなく、ロングランで格闘しています。
石臼への原料の供給量のばらつきが時間あたり
多い時で300-400グラムも勝手に変動したり
となかなか思うような製粉が出来ない状況です。
でもその中で思わない発見があります。
例えば、いつもこのような方法で製粉しているとして
それが、いつも通りするつもりが少しあらぬ方向にまちがって
製粉してしまい”あぁまちがった!!!”とがっがりして
期待しないまま蕎麦打ちをしたら、”エェ、こっちの方が
出来がいい!!!???”と。そこで”これをこうしたら
いい結果が出たのだから、これをもっと進めたらもっと
凄い粉が出るに違いない”明日はもっと、その次はもっと
ともっともっと進めたら2-3週間進めたところで冷静に振り返って
みたら”あれ、以前のほうがよかった”と。そんなことって
今まで山ほどあったけれど、それの繰り返しが今の自分
を作っているのだと。