蕎麦屋じん六 | 京都市北区にある蕎麦屋「じん六」そばの実本来のその味と香りをぜひご堪能下さいませ。

蕎麦屋 じん六

TEL:075-711-6494

〒603-8054 京都府京都市北区上賀茂桜井町67

ブログ

久しぶりの書き込みです。


ここ数週間、現用の石臼の原料供給口の
モーターとそれに繋がる回転シャフトの調子
が良くなく、ロングランで格闘しています。
石臼への原料の供給量のばらつきが時間あたり
多い時で300-400グラムも勝手に変動したり
となかなか思うような製粉が出来ない状況です。
でもその中で思わない発見があります。
例えば、いつもこのような方法で製粉しているとして
それが、いつも通りするつもりが少しあらぬ方向にまちがって
製粉してしまい”あぁまちがった!!!”とがっがりして
期待しないまま蕎麦打ちをしたら、”エェ、こっちの方が
出来がいい!!!???”と。そこで”これをこうしたら
いい結果が出たのだから、これをもっと進めたらもっと
凄い粉が出るに違いない”明日はもっと、その次はもっと
ともっともっと進めたら2-3週間進めたところで冷静に振り返って
みたら”あれ、以前のほうがよかった”と。そんなことって
今まで山ほどあったけれど、それの繰り返しが今の自分
を作っているのだと。

石臼の難しさ


石臼は魔法の道具だと思います。色んな粒度の粉を挽く
ことが出来ます。ロール引き製粉機に比べて、石臼のよさ
は粗い粉、細かい粉いろいろ交じり合いながら出てくるところ
です。ロール製粉機は比較的均一は粒度の粉が出てきます。
それも粉焼けしたものが。(高回転で製粉することによって
粉焼けが起こると言われています)粉は細かい粒度の粉、粗い粒度
の粉が色々混じりあうことにより味、香りがでてくるのです。
香りは細かい粉の方が圧倒的にあります。でも細かい粉だけでは
その香りを活かすことが出来ません。細かい粉と粗い粉が
適度に混ざり合うことによりその香りの粒が活かされるのです。
ここからは自分の推論ですが、香りを活かす為には、その粉の中に
空気の粒を内包しなければなりません。石臼は細かい粒、粗い粒
が交じり合いながら出てくるので、その香りを活かすことが
できるのだと思います。ではどのようにすれば細かい粒を多くし
そしてその香りの粒を活かせる粗い粉を含めることが出来るか?
石臼はその直径、上臼の重さ、溝の深さ、溝の数、実の落とし具合
回転数、と色んな要素があり2つと同じ石臼は無いと思います。
その使いこなしの一つとして、粒度を揃える様に製粉する、
粒度をちりばめて製粉する。色んな使い方が出来ます。

ここのところヒマがありません。


ここのところ石臼の調子が悪く毎晩、毎晩石臼と格闘
しています。なかなかブログに書き込む余裕もなく2週間
ものブランクが出来てしまいました。これも”もっと、
もっと勉強せよ!”との運命かと思っています。もともと
蕎麦屋を目指してから今まで、ずっと色んな経験をし、
そのお陰で今の自分があると思っています。
その始まりは石臼の自作でした。10数年前、蕎麦屋を考えた時
今ほど石臼のメーカーが多くなく、日本全国に数社しか
ありませんでした。そして1番安い電動石臼でも百万円以上も
しました。当時(今でもですが!)百万円というお金の余裕
も無く、自作と相成りました。田舎の古道具屋さんで見つけた
古い石臼。モーターもポンコツやさんで買ったもの。
減速器は京都西陣で少し前まで使われていた帯を織るための織機
の中に使われていたギアを組み合わせ100分の1に減速したもの。
多分総額2万円以内でしたでしょうでも、全くの素人がつくった
割りには10割り蕎麦が打てるような粉に製粉できる精度の石臼でした

異常気象


今日、蕎麦生産全国1位を誇る幌加内とその並びに位置する
或る産地の方と連絡をとり現状を聞いたところ、やはり
去年ほどでは無いにしろ栽培量は例年の6割ほどとのこと。
深川の農家がこの夏、”去年のような作柄が2年も続くよう
であればそば農家は死活問題だ。”と私に漏らしておられた
ことがあった。北海道の夏が気温30度を越す高温少雨の日が
多く出てきていることが原因らしい。気温が30度を越せば
蕎麦の花は焼けるらしい。そうすれば実もつかない。
この先日本、世界はどうなるの?

気になるお天気


話が前後しますが、先週は大分県。少し前は福井県と、このシーズンは
定休日を利用して、各産地を回り農家の方に挨拶をし、蕎麦の成育状況を
見て回るという日々が続きます。大分県は台風13号が大きな爪あと
を残し、芽が出たばかりの蕎麦畑は葉っぱがもぎ取られ地面から
10CMほどの長さの茎だけが所在なさげにひょろひょろとのこって
いるばかりでした。農家の方はすぐ種を撒き直すと言われておりましたが
その後の成長を祈るばかりです。

長野県の蕎麦を見て回る


昨日(9月25日)芦屋の蕎麦屋Dの店長と同店員1人と3人で
長野県黒姫と白馬に蕎麦の生育状況を見に行ってきました。
Dの店長であるH君が名店”ふじおか”(私の中では、同店は手打ち蕎麦
店の中では石臼の使い方はトップクラスに位置しその完成度の
高さにおいて右に出る店は無いと思うし、人にお勧めの店を
尋ねられれば同店を置いて他に無いと思っている店であります。)
に行ったことが無いというので時間を調整し、久しぶりに
その蕎麦を堪能したのでした。約2年ぶりに訪れその度ごとに
”今回はこう来たか”とその仕事ぶりに思いをめぐらすのです。
彼ら2人がその蕎麦に込められた内容の奥深さに少しでも学ぶ
ことができればまた今後の励みになると思われます。そして
同店の石臼の整備調整の打ち合わせをし、おいとまをしました。
さて、昨日のメインの長野県の蕎麦の現状はというと、当初、
長雨で、種まきが遅れたものの、その後は順調で気温もさほど
高くなくこのままの状態が続けば質の良い蕎麦が見込まれるでしょう。

大野の蕎麦は美味しいの?


でも大野産の手刈りの天日干しの蕎麦なら何でも
美味しいか?(私のイメージするところの草の香りのする
蕎麦であるか?そうでないところの美味しくない蕎麦か?
という意味での話しです。=蕎麦の実自体が緑色の実である
か否かが重要なポイントです。)
一言で言えばNOです。私は大野の蕎麦農家と二人三脚で、
何年かかけてけてどうしたら美味しい蕎麦が栽培出来るのか
を思考錯誤を重ねてきました。でもチャンスは年に1回だけです。
次は来年まで1年待たなければなりません。結構長い年月が
必要でした。
今や手刈りの天日干しの蕎麦は、全国でもほんの1握りしか
生産されていませんが、そして当店が蕎麦を頂いている産地
である福井県大野や徳島県でも生産者の高齢化で年々その
生産者が減っていっております。そして基本的には
機械で刈り、機械で乾燥した蕎麦より仕入れ金額は数段高い
金額で取引されています。金額と中身の価値はまた別の話です。
最近では全国的に機械刈りで機械干しの蕎麦でも凄く美味しいそばが
私が始めた11年前の当時より容易に手に入るようになりました。

大野市へ


もう他人に任せていっては仕方がない、と自分で
産地を開拓することにしました。車に乗り福井県へ。
大野市を中心に大きく円を描いて少しずつ範囲を狭めて
いきました。車の中で夜を明かし、地元の人に聞いて、
聞いてしても中々蕎麦の在り処は見つかりません。
そしてスキー場から少し降りて来た所のとある工務店
で、”もう少し降りた雑貨屋さんを左に入ったところ
で蕎麦を栽培していたと思う”との話。果たして
蕎麦は花盛りでした。本通リから裏に入ったら
蕎麦畑は広がっていました。喜び勇んで、とある農家
へ。”蕎麦を分けてください。”と頼みましたがあっさり
と断られました。どこの馬の骨とも分からない者には
無理な話でした。そしてその次の年、ほんの少し頂く
ことが出来るようになりました。そして次の年と少し
ずつふえていきました。

貴重な蕎麦の実


その時に分けてもらった蕎麦の実は5KGか10KGでした。
(今となっては定かではありません)それを少し
づつ使い、なくなったところで再度送ってもらえる様
頼みました。そして、次に送られてきたものは初め
の時のものとは全く別の蕎麦でした。(自分の評価の
中では悪い方でした。)さっそく業者にTELしましたら
”それは当たり前のこと。同じ産地でも年ごとに物が
違うし農家によっても違う。同じ農家でも袋ごとに
出来、不出来がある”との返事。業界の彼らにとっては
当たり前のことかもしれませんが、自分の中では”それでは
困る。一度あれだけの美味しい蕎麦の実を知ってしまった
以上蕎麦屋をする時にはあの蕎麦の実を使いたい”と
思ってしまったのです。

福井県大野市産の蕎麦の実との出会い


石臼という道具が手に入ると今度は原材料探しです。
初めのころは北海道とか色々主だった産地のJA(農協)
さんにTELをし少しづつ分けていただき、石臼で製粉
し味、香りを試していました。でもなかなか満足
のできる蕎麦の実に出会えませんでした。あれも違う
これも違う、と。そんな中で福井県大野市で栽培された
蕎麦を少量ですが手に入れることが出来ました。
どちらかといえば小ぶりで皮の色は少し茶色っぽく、
胴がぷッくり膨れてつやつやしていました。
それを手回しの石臼で製粉し、2:8で手打ちして
味わいました。その時の驚きは言葉では言い表せません
が、蕎麦って草のような香りとすごい甘さ、上手く
表現できませんが、その時から、蕎麦に対する自分
の気持ちがガラリと変わり、その後蕎麦にのめりこんで
いったのでした。